熊本酵母(協会9号)は無事でした。
4/16の熊本地震の本震からひと月以上が経ちました。
5/13発行の”醸界タイムス”という新聞を読んでいると、熊本酵母のことが書かれている記事がありました。
熊本酵母(協会9号)は、㈱熊本県酒造研究所(清酒「香露」醸造元)発祥の酵母です。
以外にも被害修復が早く、5/2には瓶詰作業も正常化したようです。
こちらでは通常、酵母を培養スランドで冷蔵保存しているらしく、
地震による停電はなかったもようです。
しかも、もし停電になったとしても自家発電機があるようで、
さらに、真空乾燥した状態で常温保存したものまであるらしく、
二重、三重の備えでリスク回避策は万全だったようです。スゴイですね。
酵母の機能についても、真空乾燥した常温保存の酵母から醸造したものが、
今年の熊本国税局主催の酒類鑑評会で、清酒部門、『熊本酵母吟醸酒』で優等賞を受賞していることから
問題ないことがうかがえます。
この熊本酵母(協会9号)、この世界では有名なのですが、
「KY35」という清酒の製法に関する俗説の1つなのです。
そもそも「KY35」というのは、
K=協会9号(酵母)
Y=山田錦(米)
35=35%精米
という意味で、この条件で仕込んだ吟醸酒ならば、酒類鑑評会で金賞を取れる、といわれた公式めいた語なのです。
熊本酵母(協会9号)は、酸は少なく香気が高いので吟醸酒に向いています。
吟醸酒の発展に大きな役割を果たした酵母で、1990年代半ばまで鑑評会出品酒にもっとも使われていたようで、
今日でも吟醸酒の多くに用いられています。
1953年ごろ、のちに「お酒の神様」と称された野白金一博士によって、(株)熊本県酒造研究所の保存酵母から分離されました。
鳥取県工業試験場の技官であった上原浩氏によれば、もともとは岐阜県の『菊川』の蔵で生まれた酵母であるといいます。
日本醸造協会とは別に、熊本県酒造研究所でも協会9号酵母と同系の酵母の保存・培養を続けており、
そのなかから熊本1号(KA-1)熊本4号(KA-4)など数種の変異株を頒布しています。
このほかにも、協会9号酵母から派生した多くの「9号系酵母」が存在しますし、
清酒の世界においてはほんとうに重要な、宝物のような存在なのです。
話は新聞の記事に戻りますが、熊本県酒造研究所の製造部長さんが心配しているのは、
地元での消費が戻るか、ということのようです。
私個人も同じ意見なのですが、縣屋酒造の製品も地元で、大分県で飲まれる、そんな存在になって欲しいと思っています。
被災された方々、がんばってください。
(通信販売コーナー作成中)
大分県宇佐市安心院町|麦焼酎・大分の酒・酒蔵
縣屋酒造(株)
大分県宇佐市安心院町折敷田130
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