前回からの続きで世界の蒸留酒を紹介したいと思います。
パイチュウは、中国の穀物を使い造られる蒸留酒です。
パイチュウの“白”は“透明”の意味であると言われています。
これに対して、醸造したままで蒸留していない褐色の酒を、ホアンチュウ(黄酒)といいます。
パイチュウの製法は、産地によって異なるようです。
原料とする穀物に何を用いるかと、麹を何から、どう造るかなどによるようです。
典型的な製法はこのような感じです。
①まず麹を造ります。大麦や小麦、エンドウなどを砕いたものに水を入れて混ぜ、
レンガの形に整え暖かい部屋に放置して、クモノスカビや酵母、乳酸菌などを繁殖させ、
“麯”(チュー、“麹”の異体字)と呼ばれる餅麹(もちこうじ)を造ります。
②蒸した高梁(モロコシ)に麯を混ぜ、地面に掘った「発酵窖」と呼ばれる穴の中に入れて土をかぶせ、
土の中で発酵させる(仕込む)。麯のような餅麹は、
清酒の製造に用いる麹カビが純粋培養された撒麹(ばらこうじ)と異なり、
糖化だけでなくアルコール発酵を行う微生物も含んでいます。
また、発酵窖には酵母などの有益な微生物が多数繁殖しているようです。
(特に、長い年月を経た発酵窖(老窖)は珍重されているようです。)
したがって、このままの個体の状態のままでアルコールを含んだモロミとなります。
③数週間後に仕込んだ材料を掘り出し、蒸気を通しやすくする籾殻や落花生の殻を混ぜて蒸留します。
これと同時に、材料の高粱も同じ甑で蒸されます。
④蒸留し終えた原料に再び麯を混ぜ、仕込みを数回繰り返します。
⑤蒸留によって集められた液体は、瓶に入れられて長期間熟成されます。
こうして造られたパイチュウは、アルコール度数が50%以上あります。
中国では、パイチュウ独特の香り(カプロン酸エチルを主体とするエステル香)の高い酒が好まれており、
香りと味の種類によってシャンシン(香型)という分類がなされています。
その種類は以下の通りです。そして()内のものが”八大銘酒”といわれているものです。
・濃香型(五粮液、剣南春、洋河大曲、濾州特曲)
・醤香型(郎酒、茅台酒)
・清香型(汾酒)
・米香型
・兼香型
・馥郁香
・鳳香型(西鳳酒)
現在の中国では茅台酒が最高とされているようで、国賓などの接待用にはこれが用いられるみたいです。
値段も、他のパイチュウの何倍もするみたいです。2000年ごろまでは、
五穀すなわち高梁・トウモロコシ・小米(うるち米)・もち米・小麦から作られた
五粮液が最高のパイチュウといわれ、偽物も出まわっていたようです。
結構シリーズ化してしまいましたが、以上が世界中にある蒸留酒のなかでも代表的といえるものだと思います。
正直知らないことが多くて、調べていて自分自身ほんとにいい勉強になりました。
このように世界中で造られている蒸留酒の製法の一部を、思い切って大分麦焼酎に取り込んでみると
思いがけないような面白いものが生まれるかもしれません。
蒸留酒の持つ可能性の広さを感じました。
(通信販売コーナー作成中)
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